2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性移植腎症の病態解明と早期診断を目的としたバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
21790971
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 俊明 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50419305)
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Keywords | 慢性移植腎症 / マクロファージ / CD163抗原 / 間質線維化 |
Research Abstract |
明らかな拒絶所見を伴わずに慢性に進行する移植腎の腎機能障害(慢性移植腎症)の成因として、CD163陽性のM2型活性化マクロファージの関与を考え、検討を進めている。 腎生検材料による検討 当院ならびに関連病院にて行った30件の移植腎生検組織を用い、マクロファーシ(Mφ)浸潤と生検時の組織所見、腎機能を解析したところ、明らかな拒絶症状がなくとも腎移植後経過が長いほど腎機能は低下する傾向があり、組織所見上の尿細管間質の線維化と有意な相関が認められた。また、間質線維化の程度はマクロファージ浸潤度と有意に相関しており、その局在は線維化部(αSMA陽性部)と一致していた。浸潤マクロファーシは、組織修復に関わるM2型活性Mφの特異マーカーであるCD163抗原を表出していた。同様の所見は小児ネフローゼ症候群に対するシクロスポリンの長期投与により生じるシクロスポリン腎毒性にもみられ、腎尿細管間質の線維化にM2型な黒ファージが関与する可能性を見出し、第43回アメリカ腎臓学会にて発表した。 尿検体による検討 各種慢性腎疾患患者の尿検体を用いた検討から、尿中の可溶性CD163抗原がELISAシステムにより検出が可能であることを確認しており、さらに腎機能や組織所見との関連を検討している。慢性移植腎症を含む、慢性腎疾患患者の尿検体を用いて同様の検討を行い、慢性腎疾患の間質障害(線維化)の進展をモニターするバイオマーカーとしての利用の可能性を検討を続けている。
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