2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性移植腎症の病態解明と早期診断を目的としたバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
21790971
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 俊明 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50419305)
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Keywords | 慢性移植腎症 / マクロファージ / CD163抗原 / 間質線維化 |
Research Abstract |
腎移植の急性期生着率の向上に伴い、現在問題となっている慢性期の移植腎機能障害(慢性移植腎症)の成因として、マクロファージの関与を考え、検討を進めている。 腎生検材料による検討 30件の移植腎生検組織を用い検討したところ、明らかな拒絶症状がなくとも腎移植後経過が長いほど腎機能は低下する傾向があり、尿細管間質の線維化と有意な相関が認められた。さらに間質線維化の程度はマクロファージ浸潤度と有意に相関しており、組織修復に関わるM2型活性Mφの特異マーカーであるCD163抗原を表出していた。以上の所見から、慢性移植腎症の進展には、CD163陽性Mφが関与していると考えた。 尿検体による検討 尿中CD163がELISAシステムにより検出が可能であることを確認できたので、今年度はCAN患者の尿検体を用いて検討を行い、CANの早期発見あるいは進展をモニターするバイオマーカーとしての利用の可能性を検討した。尿中CD163の値と移植腎の推定GFRの間には負の相関があった。移植後、長期経過していても、移植腎機能が良好な症例では尿中CD163の上昇が認められず、移植後年数との間には相関がみられなかった。 今回の検討では、尿中CD163の値は急性期を過ぎた安定期の移植腎機能と相関があり、移植腎の線維化進行の程度を示し、尿中CD163が、CANの非侵襲的なマーカーとして使用できる可能性が示唆され、これを小児腎不全学会で発表した。
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