2009 Fiscal Year Annual Research Report
WAS腎症をモデルとしたIgA腎症の発症機構に関する分子免疫学的解析
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21790972
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 正樹 Kanazawa University, 医学系, 助教 (10401902)
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Keywords | Wiskott-Aldrich症候群 / IgA腎症 / 糖鎖不全 |
Research Abstract |
本年度はWiskott-Aldrich syndrome protein (WASP)ノックアウトマウスにおける腎炎の発生、自己抗体の産生とその背景にある免疫異常のメカニズムに関する成果をまとめ投稿中である。また、腎炎の詳細とIgA分子の糖鎖異常についても投稿準備中である。 ヒトでの検討については、レクチンELISA法を用いた血清IgA分子の糖鎖異常を検出するシステムを確立し、従来までの報告と同様、コントロール群とIgA腎症群では有意にIgA腎症群のほうが有意に糖鎖不全をもつIgAが多いことがわかった。Wiskott-Aldrich syndrome (WAS)症例については当科で経過観察を行なっている2例では、いずれも糖鎖不全をもつIgAが多いことが判明した。この2例ではIgA腎症を合併している症例の方が高い傾向があった。これらの結果からWAS症例ではIgA分子に糖鎖異常を認め、この異常がIgA腎症の発症に関与している可能性が推測された。IgA糖鎖異常に関連したIgG-IgA免疫複合体の測定についてはほぼ測定系が確立したので、WAS症例について検討を行う予定である。 来年度はさらに、自己免疫疾患との関連が報告されているIgGの糖鎖異常に関する検討を行なう予定であり、具体的には脱シアル化IgGの検討を進めていく予定である。また、WAS症例の不死化リンパ球培養上清中の産生IgA分子の糖鎖異常の有無についても、不死化IgA陽性Bリンパ球クローンを作成し産生IgAの糖鎖異常の検討を行う予定である。さらにこれらの免疫グロブリン分子の糖鎖異常がWASのみならずその他の免疫不全症において認められるのか検討していく予定である。
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