2010 Fiscal Year Annual Research Report
WAS腎症をモデルとしたIgA腎症の発症機構に関する分子免疫学的解析
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21790972
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 正樹 金沢大学, 医学系, 助教 (10401902)
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Keywords | Wiskott-Aldrich症候群 / IgA腎症 / 糖鎖不全 |
Research Abstract |
本年度はWiskott-Aldrich syndrome protein (WASP)ノックアウトマウスにおける腎炎の詳細とIgA分子の糖鎖異常について論文を作成し、現在投稿中である。ヒトでの検討については、昨年度に引き続き、血清IgA分子の糖鎖異常を検出するレクチンELISA法を用いて、当科で経過観察を行っているWAS症例2例に加え、さらに米国NIH、国内他施設の症例合わせ計27例について解析を行った。その結果WAS症例ではコントロールと比較し有意に糖鎖不全をもつIgAが多いことが判明した。また、IgG-IgAおよびIgA-C3免疫複合体を測定し、WAS症例では有意にこれらの免疫複合体が血清中に増加していることが判明した。これらの結果から、WAS症例ではIgA分子に糖鎖異常を認め、この異常がIgAを含む免疫複合体の過剰産生を引き起こし、IgA腎症の発症に関与している可能性が推測された。現在、それぞれの症例のWASP遺伝子異常のgenotypeおよび臨床像とこれらのIgA分子の糖鎖不全の程度、免疫複合体量についての関連について分析を行っている。来年度はWAS症例の不死化リンパ球およびWASP遺伝子導入をおこなったリンパ球を用いて、刺激後の培養上清中の産生IgA分子の糖鎖異常の有無について検討を行い、WASP遺伝子とIgA腎症の発生の関係、その発症メカニズムの解明にむけて解析を進めていく予定である。さらにこれらの免疫グロブリン分子の糖鎖異常がWASのみならずその他の免疫不全症において認められるのか検討していく予定である。
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