2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成分子のエピジェネティクスな調節に基づく小児自閉症の病態解明アプローチ
Project/Area Number |
21790974
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (10402083)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 発現制御 |
Research Abstract |
研究目的:自閉症疾患の一つであるレット症候群原因が責任蛋白質のMeCP2の異常にあり、レット患者の神経症状がMeCP2を介したシナプス形成に関わる遺伝子の発現調節異常であると仮定し、獲得した標的遺伝子(MALS-1)の解析を行なう。 1. 研究方法MALS-1遺伝子の脳における発現分布や発現調節を神経芽細胞腫のsiRNAの導入によるノックダウン法とMeCP2ノックアウトマウスを用いてウェスタンブロッティング、及びリアルタイムPCR法による解析を行なった。 2. 研究実績と結果 (1) MALS-1の発現パターンの解析…MALS-1はマウス大脳皮質において生後の発達と共に発現量が増加する事がmRNAレベル、蛋白レベルで確認された。特にシナプスの発達が行なわれる生後2週齢以降に急激に発現量が増加する事が分かった。またその発現パターンはシナプス末端に発現している事が確認され他のシナプス関連蛋白であるPSD-95等と共存が示唆される結果となった。 (2) MeCP2蛋白欠乏状態下でのMALS-1遺伝子発現…神経芽細胞腫であるNeuro2a細胞にsiRNA-MeCP2を導入し、MALS-1遺伝子の発現を確認した所、大きな発現の変動は確認されなかった。しかし、導入時期を細胞分化前後で変化させるとMALS-1の発現量が変化する実験結果が得られた。したがってMeCP2の調節する時期が重要であると考えられた。一方でMeCP2ノックアウトマウスの大脳皮質の発現をウェスタンブロッティング法にて生後60日齢のマウスにおいては野生型と変異型の差は有意差を持った。 (3) その他の標的分子の探索…MALS-1以外のシナプス形成関連分子の探索を行ない新たな標的遺伝子としてカドヘリン関連蛋白質の一つであるPCDH7及びPCDHB1を候補分子として同定した。
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