2010 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成分子のエピジェネティクスな調節に基づく小児自閉症の病態解明アプローチ
Project/Area Number |
21790974
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (10402083)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 発現制御 |
Research Abstract |
1.研究目的 自閉症疾患の一つであるレット患者の神経症状がMeCP2を介したシナプス形成に関わる遺伝子の発現調節異常であると仮定し、獲得した標的遺伝子(MALS-1)の解析を行なう。 2.研究方法 MALS-1遺伝子のMeCP2による発現調節を神経芽細胞腫のsiRNAの導入法とMeCP2ノックアウト(KO)マウスを用いてウェスタンブロッティング、及びリアルタイムPCR法による解析を行なった。 3.研究実績と結果 (1)MeCP2蛋白欠乏下でのMALS-1遺伝子発現…Neuro2a細胞にsiRNA-MeCP2を導入し、MALS-1遺伝子の発現を確認したが大きな発現の変動は確認されなかった。しかし、導入時期を細胞分化後に変化させるとMALS-1の発現量が低下する結果が得られた。また、MeCP2-KOマウス脳の蛋白発現量を生後60日齢のマウスにおいて解析した結果、変異型は有意に低下した。MALS-1は既存の遺伝子の報告とは違いMeCP2の発現量低下に伴い標的遺伝子の発現が低下するという結果になった。MALS-1が直接的にMeCP2と結合しているか点が重要になってきたので現在MALS-1のプロモーター領域の同定とMeCP2との結合領域の同定およびプロモーター領域によるレポーター解析を行っている。 (2)新規標的分子の探索…新たな標的遺伝子としてカドヘリン関連蛋白質の一つであるPCDH7及びPCDHB1を候補分子として同定した。MeCP2-KOマウス及びレット患者の遺伝子の発現量を解析した。その結果、KOマウス脳では2遺伝子の発現量、蛋白量の有意な増加、またレット患者の脳ではPCDHB1の有意な増加が認められた。またsiRNA導入による発現量変化についても2遺伝子の発現量の増加が認められた。この結果からPCDH7,PCDHB1の遺伝子はMeCP2のメチル化制御を受けている事が示唆された。
|