2009 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いたペルオキシソーム病の病因解明・治療法開発システムの確立
Project/Area Number |
21790977
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長瀬 朋子 Gifu University, 生命科学総合研究支援センター, 助教 (20397326)
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Keywords | 脳神経疾患 / 発生・分化 / 再生医学 |
Research Abstract |
難治性神経疾患のひとつであるペルオキシソーム欠損症の病態解明のために、胚性幹細胞(ES細胞)および多能性幹細胞(ips細胞)を神経細胞に分化誘導し、ペルオキシソーム関連遺伝子およびタンパク発現の消長を観察し、神経発生機構におけるペルオキシソームの役割を明らかにすることを目的として、研究をすすめている。 本年度はマウスES細胞から神経系を構築する3系統の細胞を分化誘導し、各々におけるペルオキシソームタンパクを免疫組織学的に検討した。 【方法】マウスES細胞から浮遊培養法にてspheroidを形成させ、その後spheroidを分散し各種増殖因子を添加し神経系細胞へ分化誘導した。免疫染色後、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。なお、ペルオキシソームのマーカーとしてcatalaseおよびPex14p、ニューロン・アストロサイト・オリゴデンドロサイトそれぞれのマーカーとしてTuJ・GFAP・CNPaseに対する抗体を使用した。 【結果】ES細胞をニューロン、グリア、オリゴデンドロサイトが混在したpopulationとして分化誘導することができた。ES細胞および初期神経マーカーであるnestin陽性の細胞では鮮明なcatalase陽性穎粒の染色像が認められた。しかし分化が進んだ状態であるニューロンおよびオリゴデンドロサイトでは不明瞭、アストロサイトでは、catalase陽性穎粒は認められるもののその染色像に多様性が認められた。 【考察】このcatalaseの局在の違いは、細胞の増殖性そのものにペルオキシソームでの代謝が関与している可能性、もしくは代謝機能自体の細胞ごとの役割分担化がなされた可能性を示唆するものであると考えられる。そして、この分化誘導、評価法はヒトips細胞を用いた検討の礎となるものである。
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Research Products
(1 results)