2009 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞分化誘導システムを用いた肥大型心筋症発症機構の解明
Project/Area Number |
21790985
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 陽子 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座助教 (30457022)
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Keywords | 心筋症 / 心筋細胞 / 分化誘導 / 肥大シグナル / レオパルド症候群 |
Research Abstract |
マウスEmbryonal caricinoma cell由来のP19CL6細胞は、1%DMSO添加培地において、高率に自己収縮する心筋細胞に分化する多分化能細胞で、in vitroにおける心筋細胞分化過程を簡便かつ詳細に検討することができる。我々はLEOPARD症候群で同定された変異体SHP-2 (Src homology-2 protein tyrosin phosphatase)を発現するレンチウイルスベクターを作成し、このP19CL6細胞に感染させ、恒常発現体の作成に成功した。作成した変異体株は、LEOPARD症候群において頻度の高いY279C変異体と、当施設や他施設から、重度の肥大型心筋症の発症が報告されているQ510E変異体、加えて、コントロールとして、GFPのみ発現するものと、Wild type SHP-2の発現体株、さらに、Noonan症候群での変異体であるD61Nの発現体株である。これらに対して分化誘導実験を行い、心筋細胞分化の程度を、αActininによる免疫染色で確認した。結果、LEOPARD症候群の変異体SHP-2を発現するP19CL6細胞は、コントロールのP19CL6細胞に比較して有意に分化が遅延することが判明した。対して、Noonan症候群のD61N変異体発現P19CL6細胞では、心筋細胞分化障害は認められなかった。心筋細胞構造タンパクの発現や、心筋細胞分化に必須の転写因子群の発現を、Western blottingや定量的real-time PCRで確認したところ、これらの発現も遅れていた。現在、この分化障害がどのようなシグナル変化によるものなのかを検討するとともに、分化した心筋細胞の形態学的変化について解析中である。また、Q510E変異を有するLEOPARD症候群患者から皮膚線維芽細胞の提供を受けたので、iPS細胞の作製をすすめている。
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