2011 Fiscal Year Annual Research Report
母子相互作用の神経基盤と新生児集中治療室入院の影響
Project/Area Number |
21790995
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實藤 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (50467940)
|
Keywords | 母子相互作用 / 新生児集中治療室 / 近赤外線分光法 / connectivity analysis |
Research Abstract |
我々は、NIRSを用いて、安静時に母親が我が児を抱いている時に、母子の前頭葉の血流変化が同期していることを見出し、母子相互作用が行われていることを既に見出していた。本年度、我々は、この手法を更に発展させて、月齢・週齢が少ない新生児でも同様の測定ができるかどうかを検証した。島津製作所から提供された新生児・乳児用の新しいNIRSプローブを用いて、成熟児のみならず、低出生体重児、極低出生体重児、超低出生体重児30人以上を対象とし、脳血流変化を高い精度で測定できることを確認した。低出生体重児、特に、極または超低出生体重児は、児への侵襲を考慮しクベース内での測定が必要と考えられたため、母親が児を抱いての測定は困難であった。そこで、新生児個人内の異なる脳部位の血流変化の相関関係をみるconnectivity analysisを用いて解析を行うことにした。その解析を行うための基礎データとして、当院総合周産期母子医療センター新生児内科部門の医師の協力により、児の詳細なプロフィールを収集した。それらのデータを基に、児の出生後の週数によりそのパターンがどう経時的に変化するか、中枢神経に重篤な脳障害を持つ場合はどのようなパターンになるかについて検討した。その結果、児の週数が増すにつれて、異なる脳部位間のconnectivityが徐々に増加していくことを確認することができた。また重篤な脳障害を持つ場合に、connectivityは著しく低下することをも見出すことができた。このように、NIRSを用いたconnectivityanalysisは、たとえ超低出生体重児であっても、脳の状態を、児に負担をかけることなく完全に非侵襲的に観察・評価する有用なツールであることを証明することができた。
|