2010 Fiscal Year Annual Research Report
再生不良性貧血におけるHIF-1αを介したVEGFの調節機構の解明
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21790999
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
児玉 祐一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20535695)
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Keywords | 再生不良性貧血 / VEGF / HIF-la |
Research Abstract |
(研究目的)再生不良性貧血の進行に血小板内のVEGFが関与していることが、以前のわれわれの研究で判明した。今回その機序をさらに検討するために、VEGFの転写因子として知られているHIF-1αを検討した。 (方法)当院で再生不良性貧血と診断した13名を対象として、凍結保存した骨髄単核球内のHIF-1αのmRNAの発現量をリアルタイムPCRで測定した。臨床経過で13名中7名が急性型(診断後2年以内に重症に至る)、6名が慢性型(診断後2年以上中等症または軽症で推移)に分類された。正常検体として6名の血液腫瘍性疾患でない小児の骨髄を使用した。また発現量はコントロール細胞からの相対量として数字化した。 (結果)再生不良性貧血患者のHIF-1αの発現量は中央値で1.82(0.17-3.77)で正常検体では1.16(0.83-2.02)であったが有意差はなかった(p=0.273)。また再生不良性貧血の臨床経過での評価をせこうした。慢性の再生不良性貧血の発現量は1.13(0.69-2.62)、急性の再生不良性貧血では2.20(0.17-3.77)で両者に有意差はなかった(p=0.153)。 (考察)慢性の再生不良性貧血で血小板内のVEGFが高値であるのに、その転写因子であるHIF- 1αが関与している可能性を検討したが、我々の予測と異なり、慢性型でHIF-1αの発現量は高くなく、有意差はなかったが低い傾向にあった。これは血小板内のVEGFの発現に関して骨髄の単核球レベルでのHIF-1α関与していない可能性が示唆された。細胞数が少ないため困難であるが、骨髄の巨核球レベルでの検討も必要と考えている。
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