2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓・大血管発生におけるイノシトール三リン酸受容体の組織特異的機能の解明
Project/Area Number |
21791004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 敬子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (50286522)
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / 再生医学 / 循環器・高血圧 / 動物 |
Research Abstract |
1型および3型のイノシトール三リン酸受容体(IP_3R1,IP_3R3)遺伝子の機能を全身において欠損させたダブルノックアウトマウス(DKO)では、発生全体の遅れが顕著であったため、心血管発生におけるIP_3R1,IP_3R3の機能を明確にすることができなかった。昨年度に作製したIP_3R1^<loxp/loxp>IP_3R^<-/->とTbx1Cre:IP_3R1^<+/->IP_3R3^<-/->を交配し、Tbx1Cre:IP_3R1^<loxp/->IP_3R^<-/->(二次心臓領域特異的なIP_3R1,IP_3R3ダブルノックアウトマウス)の作製に成功した。このマウスは正常な発生を遂げ、生後1年間、特に問題なく生存し続けたため、心血管系には異常はないと考えられた。続けて、Tie2Cre:IP_3R1^<loxp/->IP_3R^<-/->(血管内皮細胞特異的なIP_3R1,IP_3R3ダブルノックアウトマウス)を作製した。現時点で、Tie2Cre:IP_3R1^<loxp/->IP_3R^<-/->は出生しておらず、胎生致死が疑われた。現在、胎生期のどの時点で死亡しているか解析中である。 全身のIP_3R1,IP_3R3DKOの組織で認められた血管発生における「血管新生」の障害が、血管自体によるものか、その他の発生異常による二次的障害かを確認するため、血管内皮細胞株(HUVEC)を用いて管腔形成能と細胞遊走能を測定した。HUVECの管腔形成能と細胞遊走能はIP_3R阻害薬の存在下で有意に低下し、血管新生の障害は血管内皮細胞のIP_3R機能の低下が直接関与する可能性があることが示唆された。 本研究の成果は、IP_3R1,IP_3R3を介したシグナル伝達機構を中心とした先天性心血管疾患の発症機構を明らかにすることであり、発症予防や再生医療を含む治療への応用につながることが期待される。
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Research Products
(2 results)