2009 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺発生異常におけるゲノムワイドCopy Number Variation解析
Project/Area Number |
21791006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳴海 覚志 Keio University, 医学部, 助教 (40365317)
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Keywords | 先天性甲状腺機能低下症 / 甲状腺発生異常 / 分子遺伝学 / ゲノム構造異常 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
研究参加に関しインフォームドコンセントの得られた甲状腺発生異常(thyroid dysgenesis,TD)患者60名から全血3-5mLを採取し、末梢血白血球からゲノムDNAを抽出した。本研究の目的は、病因不明なTDの発症にcopy number variation(CNV)が関与するか否かの検証であるため、既知病因によるTDが対象者に含まれるとバイアスを生じる可能性が考えられた。そのため、TDを惹起する既知単一遺伝子異常(PAX8遺伝子変異、NKX2-1遺伝子変異、FOXE1遺伝子変異)を否定するためこれら3遺伝子の塩基配列解析を行い、3例のPAX8遺伝子変異陽性患者を同定したが、57例で3遺伝子のいずれにも変異を有しないことを確認した。次に、患者由来ゲノムDNAを試料としてCNV解析用チップ(CNV57K,deCODE genetics)を用いたCNV解析を行った。同様の解析を日本人非罹患対照94名に対して行った。出力された57,000か所のCNVデータ(患者群、対照群)について、回帰分析、Wilcoxon分析、Fisher正確確率検定などの数理統計法を用いて両群のCNV分布の差異を検定した。その結果、両群で統計学的有意にCNV分布の異なるTD関連CNV候補領域16か所を同定した(以上の解析過程を一次スクリーニングと呼称する)。一次スクリーニングにおいては、検定における有意水準を0.05と設定したが、多重検定を考慮すると少なからず偽陽性シグナルが混入すると推測される。次年度(平成22年度)は、新規のTD患者に由来する試料を用いて、一次スクリーニングで得られた候補領域のリプリケーション実験を行い、真陽性シグナルの同定を試みる予定である。
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