2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト造血化したマウスにおける白血病幹細胞ニッチ解析
Project/Area Number |
21791008
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
嶋 晴子 Keio University, 医学部, 助教 (80424167)
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Keywords | 造血幹細胞 / NOGマウス / 白血病幹細胞 / 細胞周期 / 低酸素 |
Research Abstract |
平成21年度は、白血病幹細胞と正常造血幹細胞の相違を明らかにするために、ヒト正常造血幹細胞の特徴を検討するべく、ヒト臍帯血幹細胞が移植後マウス骨髄に生着し静止期を獲得するまでの動態を明らかにした。 ヒト臍帯血細胞を超免疫不全マウスであるNOGマウスに移植することで移植後4週の早期から90%以上のヒト造血キメリズムを示し、その後も4か月にわたりヒト造血キメリズムを維持するマウスモデルを作製した。造血幹細胞は「ニッチ」とよばれる骨梁領域のもっとも低酸素な領域において静止期を維持し、生涯にわたって造血細胞を供給することが知られている。そこで、このマウスモデルを用いて、移植後マウス骨髄に生着したヒト造血幹細胞がどのように骨髄ニッチに接着し静止期を獲得するのかを明らかにするために、生着したヒト造血幹細胞の細胞周期や幹細胞制御にかかわる遺伝子の発現について解析した。また酸素動態についても検討した。その結果、細胞周期解析から、移植後4週から8週にかけて、もっとも未分化な造血幹細胞が含まれるCD34陽性CD38陰性の細胞分画において、G0期の静止期にある細胞集団が有意に増加することが示された。また、同時にCD34陽性CD38陰性の細胞集団が他の細胞分画に比し有意に低酸素状態を獲得することも示された。この移植後4から8週の期間において、細胞周期制御因子や幹細胞制御因子のmRNA発現の変化もみられ、造血幹細胞の静止期制御メカニズム解明につながる可能性が示唆された。 また、白血病発症にかかわるキメラ遺伝子としてMOZ-TIF2およびMLL-AF10を選択した。レトロウィルス感染の系を用いてキメラ遺伝子を導入したマウス造血細胞およびヒト臍帯血細胞をマウスに移植し、白血病マウスモデルの作製を進めている。
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