2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヌーナン症候群におけるRas-MAPKシグナル経路の役割に関する研究
Project/Area Number |
21791013
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
RAZZAQUE Md. Abdur Tokyo Women's Medical University, 国際統合医科学インスティテュート, 助教 (50468691)
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Keywords | ヌーナン症候群 / RAS-MAPKシグナル経路 / 心疾患 / 獲得型変異 |
Research Abstract |
突然変異によるRas-MAPKシグナル伝達経路の恒常的な活性化は、いくつかのヒト悪性腫瘍や発達障害における重要な事象であると考えられている。Ras-MAPK経路構成因子の変異は、発育障害であるヌーナン症候群(NS)の原因で、この変異の多くは機能獲得性を示し、症例の約70%に影響を与える。本研究では、Ras-MAPK経路における変異が、悪性腫瘍ではなくNSの特異的な表現形にどのように寄与しているのかを理解することと新規候補遺伝子を探すことを目的とした。我々はNS患者群から肥大型心筋症(HCM)に関連する新しい原因遺伝子としてRAF1を報告した。NSにおけるHCMのメカニズムを明らかにするため、野生型RAF1、HCM関連、非関連の変異を有するRAF1を発現する心臓特異トランスジェニック(Tg)マウスの作出を試みた。しかし、変異RAF1を発現するTgマウスはそれぞれ1匹ずつしか得られず、また、野生型RAF1を発現するマウスは1匹も得ることができなかった。再度の試みでも得られなかった。同様の現象が他のアメリカの研究グループでも起こっている。そこで、Tgマウスの作出法を変えることとし、現在、Tet-ONシステムを基にした誘導発現が可能なプラスミドを構築中である。 また、新しく12名の患者についてNSの原因遺伝子の検索を行い、既知の3つのRAF1変異を発見し、最近報告されたSHOC2に1つの新規変異を見つけたが、NRASでは見つからなかった。さらに、腫瘍形成のKras変異とは異なる、機能獲得型活性を有する新規のKras変異を発見した。他にも、新しい遺伝子変異を発見し、この機能解析によってNSにおける新しい役割が明らかになるだろう。同時に、これらの研究はNSにおけるRas-MAPK経路の新しい役割が確立できると考える。
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Research Products
(2 results)