2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群精神遅滞の発症におけるOLIGの役割の検証
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21791019
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高木 栄一 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (50525590)
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Keywords | ダウン症候群 / オリゴデンドロサイト / 精神発達遅滞 |
Research Abstract |
ダウン症候群は、精神遅滞や特有な顔貌を主な特徴とする疾患で、ヒト21番染色体の全てまたは一部が3倍体となることで発症する。ダウン症候群精神遅滞の発症には、ヒト21番染色体上の遺伝子の過剰発現が関わっていると考えられているが、実際にどの遺伝子の過剰発現が関与しているのかは明らかになっていない。本研究課題では、ダウン症候群マウスモデル(16番染色体部分トリソミーマウス)で観察される精神遅滞様症状について、トリソミー領域内の01な遺伝子のみを3倍体から2倍体に戻すことにより症状が改善されるかどうかを検討し、OLIG過剰発現による影響について総合的に判断をする。 本年度は、まず、ダウン症候群モデルマウス(Ts1Cjeマウス)の脳におけるオリゴデンドロサイト形成について検討し、Ts1Cjeマウスにおいてオリゴデンドロサイトが減少していることを確認した。また、Ts1Cjeマウスとolig遺伝子ヘテロマウスを交配し、Ts1Cjeマウス、Ts1Cj-o1ig1(+/+/-)/o1ig2(+/+/-)マウス、正常マウスの3種の遺伝型をもつマウスー群を準備した。これら一群のマウスを用いオリゴデンドロサイト形成の評価を行い、Ts1Cjeマウスにおいてolig遺伝子を3倍体から2倍体に戻すことによりオリゴデンドロサイト形成の改善傾向が見られた。さらに、これらのマウス群は行動解析においても、Ts1Cjeマウスについてolig遺伝子を2倍体に戻すことにより行動異常の改善傾向が見られた。現状では予備実験的データであるため、今後、更にサンプル数を増やし解析を進める必要がある。
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