2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791021
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Research Institution | 埼玉県立がんセンター |
Principal Investigator |
春田 雅之 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80392190)
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Keywords | 腎芽腫 / βカテニン / WTX |
Research Abstract |
腎芽腫の半数以上にβカテニンの蓄積を認めることから、Wnt/βカテニン分解系の異常が腎芽腫の発症に関与することが示唆されているが、βカテニンとWTXの異常が報告されているのみでWnt/βカテニン分解系に関わる他の遺伝子については解析されていない。本研究は腎芽腫発症におけるWnt/βカテニン分解系に関わる遺伝子群(AXIN1、AXIN2、GSK3β、APCそしてWTX)異常の関与とその意義を明らかにすることである。β-カテニンの核蓄積は下流遺伝子群(c-MycやCyclin D1等)の過剰発現をもたらすことが知られている。本年度は腎芽腫においてWnt/βカテニン分解系の異常をスクリーニングするため、腎芽腫49症例にて下流遺伝子であるc-Myc、CCND1、WIF1とAXIN2のmRNA発現解析をreal time PCRを用いて行った。c-Myc、CCND1、WIF1とAXIN2遺伝子はWTXまたはCTNNB1遺伝子に変異を認めた24症例中6症例、1症例、2症例そして10症例で正常腎および胎児腎より高発現していた。一方、WTXまたはCTNNB1遺伝子に変異を認めない25症例中7症例、9症例、2症例そして4症例でc-Myc、CCND1、WIF1とAXIN2遺伝子の高発現を認めた。これらはWTXまたはCTNNB1遺伝子に変異を認めない一部症例においてWnt/βカテニン分解系の異常が生じている可能性を示唆する。 また、腎芽腫腫瘍死10症例の遺伝子変異解析にて、7症例でWTX遺伝子変異を2症例でWT1とCTNNB1遺伝子変異を認め、WT1とβ-カテニン両シグナル経路の異常が腎芽腫の予後因子となることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(5 results)