2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天性下垂体機能低下症におけるOTX2遺伝子解析ならびに機能解析
Project/Area Number |
21791025
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
伊達木 澄人 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 共同研究員 (70462801)
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Keywords | 遺伝子 / 転写因子 / 下垂体 |
Research Abstract |
2009年度以降、われわれは、全国より集積された無・小眼球症、下垂体機能低下症患者、約100名に対し、OTX2変異解析を行った。その結果、異なる5名の患者において4種の新規ヘテロ接合性変異(p.S135fsX136、p.K74fsX103、p.A72fsX86、p.G188X)を同定した。さらに、OTX2変異陰性例に対して、OTX2遺伝子を含む欠失の有無をMLPA法、arrayCGH法を用いて解析し、1男児例にOTX2遺伝子を含む2.86Mbのヘテロ接合性欠失を同定した。これら計6例のOTX2変異・欠失陽性患者における詳細な臨床的、分子遺伝学的解析の結果から以下のことを明らかにし、その研究成果を報告した(J Clin Endocrinol Metab 2010)。(1)OTX2ヘテロ異常症では、複合型下垂体機能低下症からGH単独分泌不全症、正常まで多様な下垂体表現型を示す。(2)下垂体低形成、異所性後葉などの下垂体構造異常を一部に伴う。(3)OTX2変異・欠失陽性例は何かしらの眼の異常を示しており、眼に異常がない下垂体機能低下症における変異陽性例は稀である。(4)OTX2異常症ではhaploinsufficiencyがその発症メカニズムである。(5)OTX2ヘテロ異常症の眼症状ならびに下垂体症状には、遺伝子型-表現型の関連性がない。さらに、われわれは、ヒトcDNAライブラリーを用いた発現解析にて、OTX2がヒト下垂体、視床下部に明瞭に発現していること、さらにOTX2がGNRH1プロモーターに対し転写活性化能を有することを明らかにした。 以上の結果は、OTX2異常症患者における適切なホルモン補充療法、遺伝カウンセリングを可能とするという臨床的意義と、下垂体の発生分化にかかわる分子ネットワークの解明に貢献するという基礎医学的意義の両者を有するものである。
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Research Products
(8 results)