2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒツジ胎仔を用いた人工胎盤に応用できる膜型人工肺の開発
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21791030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北西 龍太 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (20436116)
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Keywords | 人工胎盤 / 人工羊水 / 人工子宮 / 胎児循環 / 膜型人工肺 / 動脈管 / マイクロスフェア法 |
Research Abstract |
現行の新生児集中治療ではたとえ胎児肺に強い未熟性や低形成があっても人工呼吸が強制されるが,胎盤循環を模した人工胎盤装置を開発すればこうした症例を救命できる可能性が開かれる,心ポンプのみで駆動させて回路内を陽圧に保つ人工胎盤(臍帯動脈からの脱血回路+膜型肺+臍帯静脈への供血回路)の有用性と安全性について動物実験モデルを用いて検討した. 東北大学動物実験委員会の承認(22医動-18)のもと平成22年10~12月に実施した.実験には妊娠期間が確定したSuffolk種ヒツジを用いた.妊娠125~140日(満期147日)に帝王切開で胎仔を娩出させ,臍帯動静脈に血管カヌラを挿入し,膜型肺に接続した.リポPGEを持続点滴して動脈管血流は胎児循環と同じ右左短絡を維持させた.回路内は予めヘパリン加母獣血で充填し,活性化凝固時間に基づいて回路内凝血を予防し,血流量は電磁血流計で測定した.手術後,胎仔ならびに人工胎盤は恒温漕(39℃の生理的食塩水)に浮遊させた.Colored-microspher法を用いて各臓器の血流量を出生前後に測定し比較した. 人工胎盤を装着できた3例ではいずれも胎児循環を保ちながら15時間生存させることができた.回路内血流量は約30~120ml/min/kgの間で変動し,低酸素と低換気が進行すると血圧が上昇して回路内血流量が増加し,酸素化と換気が改善すると血圧が低下して回路内血流量が低下する適応現象が観察された.経過とともに高乳酸血症が進行して心ポンプ機能が悪化し,膜型肺自体の酸素添加能ならびに炭酸ガス除去能は維持できていたが回路内血流量を保てなくなった.出生後2~6時間に臓器血流量を維持できていたのは副腎と左右心筋のみで,脳では減少傾向が認められた. 人工胎盤でヒツジ胎仔を15時間生存させることができた.並列回路で分葉化させて膜型肺の血流抵抗を減らすことができれば,回路内血流量を維持して生存期間を延長できる可能性がある.脳血流量を減少させない安全な循環管理の必要性が指摘きれた.
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