2009 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質の晩発的影響とフィードバック機構破綻におけるエピゲノム解析の展開
Project/Area Number |
21791037
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
割田 克彦 Kagawa University, 医学部, 助教 (40452669)
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Keywords | 生殖内分泌 / 内分泌攪乱化学物質 / 下垂体 / ライディッヒ細胞 / エピジェネティクス / StAR遺伝子 / 精巣 / ステロイドホルモン産生系 |
Research Abstract |
エストロゲン受容体の発現は生殖腺をはじめ中枢神経系など広範囲にみられ,エストロゲン活性を有する化学物質が視床下部-下垂体-性腺軸におけるフィードバック機構に及ぼす影響は過小評価できない.本研究では,エストロゲン様化学物質が精巣ライディッヒ細胞のステロイドホルモン産生系遺伝子に及ぼす影響について,特に遺伝子発現を制御するクロマチン修飾の変化に着目し解析を行った.具体的には,低いエストロゲン活性を有するビスフェノールA (BPA),および高いエストロゲン活性を有する合成エストロゲンDiethylstilbestrol (DES)を対象とし,これらの化学物質がステロイドホルモン産生の律速因子に及ぼす影響をクロマチン免疫沈降法ChIP assayにより解析した.その結果,コレステロールをプレグネノロンへと変換する側鎖切断酵素P450scc (CYP11A1)の遺伝子プロモータ領域は,DESの曝露により有意なヒストン脱アセチル化を引き起こすことが示された.一方,同遺伝子に関して,エストロゲン活性が低いBPAの曝露では有意なヒストン修飾の変化はみられなかった.興味深いことに,DESとほぼ同等の力価を有する天然エストロゲン17β-estradiolでは,P450scc遺伝子のプロモータ領域におけるヒストン脱アセチル化が引き起こされず,エストロゲン様化学物質が生体に及ぼす影響は,単なるホルモン作用にとどまらないことがクロマチン修飾のレベルで示された.クロマチン修飾に変化を与える因子,ならびにメチル化DNAに関わる分子については,再現性を含め現在解析を行っている.
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Research Products
(6 results)