2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 貴子 九州大学, 大学病院, その他 (20467947)
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Keywords | 呼気濃縮液 / 低出生体重児 / 気管支肺異形成 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
早産児・低出生体重児に認められる呼吸器合併症である気管支肺異形成(BPD)では、酸化ストレスや肺局所のサイトカイン・ケモカインとの関連が病因のひとつであると考えられている。呼気濃縮液EBCは呼気中に含まれるエアロゾルや水蒸気を冷却回路で液化させた物質であり、安静呼吸下で非侵襲的に肺局所の検体を採取することができる。EBCのpHは反応性気道傷害の増悪時に低下すると報告されており、pH値ならびに肺局所のサイトカイン・ケモカインとBPDとの関連を調査した。 平成21年1月以降に当院NICUに入院した出生体重1000g未満の超低出生体重児を対象として、退院前にベッドサイドにて呼気濃縮液採取装置(R-tube)を用いて、呼気濃縮液の採取を行った。乳児での採取方法は確立されていないため、過去の報告例を参考にシリコンマスクで鼻口腔を密着して安静呼吸20分間で採取した。27例の検体を採取して、採取時による説明と同意を得た。BPDの臨床像として重症度分類、ステロイド投与の有無、酸素投与期間、人工換気期間、胸部CT所見スコアを選択した。統計学的手法で関連性を解析した。 EBCのpH値とはBPDの重症度分類(p=0.77)、ステロイド投与(p=0.36)には有意差を認めなかった。酸素投与期間(r=-0.277、p=0.89)、人工換気期間(r=0.21、p=0.29)、CTスコア(r=0.03、p=0.88)のいずれも有意な相関は認められなかった。またEBCを乾燥濃縮してマイクロビーズ法にてサイトカイン・ケモカインを測定した。一部の病例でIP-10、MCP-1、MIGやIL-8が検出されたが、他の検体と項目はすべて測定感度以下であった。検体量が微量であるため測定方法が限定された。
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