2010 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性虚血性脳症における神経細胞の樹状突起に発現する電位依存性チャネルの制御
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21791040
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
有光 威志 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60383840)
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Keywords | 樹状突起 / 電位依存性チャネル / 神経細胞 / 小児科学 / 新生児医学 |
Research Abstract |
低酸素性虚血性脳症の神経学的後遺症として、高次脳機能症障害をきたすことが知られている。また、神経細胞の樹状突起に発現するhyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channel(HCN)1は、運動学習やワーキングメモリーなどの高次脳機能の発現に重要な役割を果たしていると考えられている。近年、α2Aアドレナリン受容体がHCNを介してワーキングメモリーを増強することが報告されているが、HCN1がタンパク質レベルでどのような制御を受けているのかは明らかでない。 本年度は、マウス大脳皮質の分散培養神経細胞を用いて、α2Aアドレナリン受容体によるHCN1の分子レベル及び細胞レベルでの制御機構を明らかにすることを目的とした。まず、α2Aアドレナリン受容体のアゴニストであるクロニジンを用いて、神経細胞のα2Aアドレナリン受容体を刺激した。そして、細胞膜表面でのHCN1タンパク質の発現量を調べるために、細胞膜非透過性の架橋剤を用いて細胞膜表面の分子を架橋した後に、ウェスタンブロッティングを行った。その結果、細胞膜表面のHCN1タンパク質の発現量は、α2Aアドレナリン受容体の刺激により、低下する傾向が示された。そこで、α2Aアドレナリン受容体の刺激による経時的な細胞膜表面での発現量の変化を調べた結果、HCN1タンパク質の細胞膜表面での発現量は、時間依存的に減少する傾向が示された。 本研究の結果より、α2Aアドレナリン受容体はHCN1タンパク質の細胞膜表面での発現量を減少させることで、ワーキングメモリーを増強させる可能性のあることが示された。
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