2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤形成におけるサイクリックAMPグアニンヌクレオチド交換因子(Epac)の役割
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21791044
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
吉江 幹浩 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50434014)
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Keywords | Epac / 栄養膜細胞 / 脱落膜細胞 |
Research Abstract |
ヒト子宮内膜間質細胞(ESC)は、月経周期の分泌期及び妊娠時に敷石状の脱落膜細胞へと分化し、インスリン様増殖因子結合蛋白質1(IGFBP-1)、プロラクチン(PRL)を産生する。脱落膜化にはcAMPを介したプロテインキナーゼA(PKA)の活性化が重要であるが、cAMPシグナル仲介因子Exchange protein directly activated by cAMP (Epac)の役割については不明である。本研究では、子宮内膜におけるEpacの発現とヒトESCの脱落膜化におけるEpacシグナル伝達経路の意義について調べた。分泌期のヒト子宮内膜においてEpac1とEpac2は、主に内膜間質細胞、腺上皮細胞に発現していることを明らかにした。ヒト子宮内膜組織から単離したESCとESC株にEpac選択的cAMPアナログ(CPT)、PKA選択的cAMPアナログ(Phe)を単独または併用処置した結果、両細胞ともPheの処置により脱落膜化マーカー(IGFBP-1、PRL)の発現が高進したが、CPTを処置した細胞ではそれらの発現は変化しなかった。しかし、CPTとPheを共処置するとPhe単独処置時に比べてそれらの発現がさらに増加した。生理的な脱落膜化誘導因子である性ステロイドを処置した際のIGFBP-1発現もCPTの共処置により増加した。さらに、脱落膜化刺激を加えたESCでは、CPTの処置によりEpacシグナル伝達因子のRap1が活性化されることも確認された。また、Epac1、2またはRap1の発現をsiRNAにて抑制すると、Phe単独処置及びPheとCPTを共処置した際のPRL、IGFBP-1 mRNA発現が減少した。これらの結果から、ヒトESCの脱落膜化にはPKAだけではなく、Epac/Rap1を介したcAMPシグナル伝達経路が関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)