2010 Fiscal Year Annual Research Report
周産期呼吸リズム調節とCl-ホメオスタシス:乳幼児突然死症候群の中枢性要因の探索
Project/Area Number |
21791046
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
岡部 明仁 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10313941)
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Keywords | 乳幼児突然死症候群 / KCC2 / 細胞内Cl^-濃度 / GABA_A受容体 / 舌下神経核 |
Research Abstract |
1歳未満の乳児に発生する乳幼児突然死症候群(SIDS : Sudden Infant Death Syndrome)の原因は未だ不明な点が多いが、一因として脳における呼吸循環調節機能不全が考えられる。呼吸リズムはGABA及びグリシン作動性の抑制性ニューロンにより制御されている。しかし抑制性神経伝達物質による神経細胞の応答性はその細胞内Cl-濃度([Cl^-]_i)に依存して変化すると考えられている。[Cl^-]_iはCl^-トランスポーターにより制御されており、特に細胞外にCl^-を排出するKCC2と細胞内にCl^-を取り込むNKCC1が重要である。本年度は、生後発達に伴いこれらのCl^-トランスポーター及びGABAが呼吸様リズム発火にどのように作用しているのかを、電気生理学的に検討を行った。生後(生後0日齢~7日齢)正常マウスを用いて、舌下神経核を含む700μm厚の延髄急性スライス標本を作製し、舌下神経核にタングステン電極を刺入し、呼吸リズムを記録した。この延髄急性スライス標本は人工脳脊髄液(ACSF)のK^+濃度を3mMから8mMに増加させることで呼吸様リズム発火を発生させることができる。このスライス標本にGABAを投与すると、呼吸様リズム発火は増加した。その後約40分間のリカバリーを経て(1)1mMのFurosemideまたは50μMのDIOA(KCC2阻害剤)及び(2)10μMのBumetanide(NKCC1阻害剤)を投与して呼吸様リズム発火の変化を検討した。その結果、いずれの阻害剤を投与しても、呼吸様リズム発火が増加することが認められた。これらのことから、生後1週齢までは、舌下神経核の神経細胞における[Cl^-]_iは高値である可能性が示唆された。
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