2009 Fiscal Year Annual Research Report
KCNQ2ノックインマウスを用いた予後不良型BFNCの病態解明
Project/Area Number |
21791048
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中村 友紀 Fukuoka University, てんかん分子病態研究センター, 研究員 (90535072)
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Keywords | イオンチャネル / KCNQ / 遺伝子 / てんかん / 電気生理 / バッチクランプ / 点変異体 / HCN2 |
Research Abstract |
良性家族性新生児けいれん(Benign Familial Neonatal Convulsions,以下BFNCと略す)は生後2~3日のけいれん発作にて発症する疾患である。BFNCは脳内の電位依存性カリウムチャネルの遺伝子であるKCNQ2とKCNQ3の変異によって発症する、いわゆるチャネル病であることが遺伝子解析により発見されている。このうち、予後不良なBFNC患者の遺伝子変異は、主にKCNQ2遺伝子のS5,S6,C末領域に集中していることが報告されている。そこで我々はKCNQ2遺伝子S5領域に変異(S247W)を持つ予後不良症例に着目し、変異遺伝子を作成し、この変異遺伝子と遺伝子組み換え技術を用いてノックインマウスを作成した。 今年度は、ノックインマウスから、脳発達期の幾つかの異なるタイムポイントにおいて脳組織を採取し、酵素処理による神経細胞の単離・初代培養を行う。あるいは、脳スライス標本を作成する。これらにパッチクランプ法を適用して、単離細胞レベルおよび神経ネットワークが保存された状態の単一細胞における膜電流やシナプス電位・電流の測定・解析を行い、正常組織から得られた結果と比較検討する。更にノックインマウスに見られる変化が、活動電位発生閾値低下や興奮性/抑制性シナプス伝達のバランスの変化を説明しうるかについて、"Neuron v.6.2"などのシミュレーションモデルを活用して検討する。 また、当教室のてんかん患者遺伝子スクリーニングにおいて、HCN2遺伝子の変異が発見された。我々は前年度、HCN2遺伝子変異体を作成した。今年度はRCN2変異体遺伝子を培養細胞に導入・発現させ、電気生理学的検討をする実験を上記の計画と並行して行うことにした。
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