2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791054
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岸部 麻里 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90431410)
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Keywords | カリクレイン8 / 創傷治療 / カリクレイン6 / Protease-activated receptor 2 |
Research Abstract |
表皮に発現するセリンプロテアーゼの1つであるカリクレイン8(KLK8)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患における発現増加を認める。創傷治癒におけるKLK8の機能解析は、臨床的応用も視野に入れた研究である。 野生型(WT)マウスとKLK8ノックアウト(KLK8-/-)マウス背部皮膚に、8mm大の全層皮膚欠損創を作成して両者を比較した。WTマウスでは、創傷後3日目から創部辺縁の有棘層から顆粒層にKLK8の発現増加を認めた。創最大径および創閉鎖までの期間を比較したところ、KLK8-/-マウスで再上皮化が遅れることがわかった。創傷早期のWTマウスでは、創傷後表皮は肥厚しており、創傷辺縁にKi67陽性ケラチノサイト数の有意な増加を認め、表皮の増殖を認めた。一方、KLK8-/-マウスでは創傷後期に粗大なケラトビアリン顆粒を有する表皮顆粒層の肥厚を認めたことから、再生表皮の分化に遅れがあると考えた。なお、血管新生には差はみられなかった。 KLKsはカスケードを形成して機能するが、WTマウスでは創傷後KLK6 mRNAおよび蛋白が有意に強く誘導されていた。KLK6はProtease-activated receptor2(PAR2)を介して機能することから、WTマウスとKLK8-/-マウスでPAR2の発現に差がないか検討した。WTマウスでは、創傷皮膚でPAR2 mRNAおよび蛋白が有意に誘導されることがわかった。PAR2は活性化を受けたのち、細胞内へと局在を変える。WTマウスでは、創傷後PAR2の内在化を認めた。 KLK8は、創傷早期にKLK6を誘導することで表皮角化細胞の増殖を促進し、創傷後期にはPAR2の誘導に影響して、角化細胞の分化誘導に関与することを明らかにした。KLK8はケラチノサイトの増殖と分化の調整を行っている可能性があると考えた。
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Research Products
(3 results)