2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管肉腫に対するウイルスベクターを用いた新治療の試み
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21791065
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西澤 綾 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30431456)
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Keywords | 血管肉腫 / 遺伝子治療 / 免疫療法 / IL-2 / HVJ-E / スニチニブリンゴ酸塩 |
Research Abstract |
血管肉腫(angiosarcoma:AS)は予後不良な疾患で、根治が望める治療は確立されていない.そこで,様々な悪性腫瘍に対する新しい治療法として,臨床応用がなされつつある遺伝子治療に注目した.実験動物に作成した皮下AS腫瘍に対し,不活化センダイウイルスであるHVJ-Eエンベローブベクター(HVJ-E)を用い,単独またはIL-2遺伝子を封入して治療研究をおこなった.また、抗腫瘍エフェクター,1)スニチニブリンゴ酸塩についても抗腫瘍効果を検討した. 研究内容・結果 1.マウス血管肉腫細胞株ISOS-I細胞に対し、スニチニブリンゴ酸塩はin vitroにおいて濃度依存的に増殖抑制効果を示した. 2.BALB/cマウスに作成したAS腫瘍を用いて.in vivoにおけるスニチニブリンゴ酸塩,HVJ-E,HVJ-EにIL-2遺伝子を封入して投与することによる抗腫瘍効果を検討.また、それらの併用治療を試みた。 1)HVJ-E単独投与により抗腫瘍効果が得られた. 2)スニチニブリンゴ酸塩単独投与において容量依存的に抗腫瘍効果が得られた. 3)HVJ-Eとスニチニブリンゴ酸塩の併用で単独投与に比べ抗腫瘍効果が増強した. 4)HVJ-EにIL-2遺伝子を封入して投与することによりHVJ-E単独投与より抗腫瘍効果が増強した. 3.HVJ-E投与マウスにおいては腫瘍浸潤リンパ球においてCD8陽性細胞とNK細胞の割合が増加し、所属リンパ節の制御性T細胞の割合が低下を示した。 以上よりHVJ-Eによる抗腫瘍効果は免疫を介した作用であると推測された。
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