2009 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎患者における痒み過敏機序の皮膚から脳までの包括的研究
Project/Area Number |
21791074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生駒 晃彦 Kyoto University, 医学研究科, 非常勤講師 (10378614)
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Keywords | 痒み / アトピー性皮膚炎 / 痒み過敏 / ヒスタミン |
Research Abstract |
計20名のアトピー性皮膚炎患者に参加いただき、研究を施行した。まず、ヒスタミン反応の治療による変化(減弱)をステロイド外用剤のみならず、タクロリムス軟膏外用、および、シクロスポリン内服治療でもみた。タクロリムス軟膏外用は3日間のみとした。シクロスポリン内服治療は通常の外用治療に追加する形で、4週間おこなった。その結果、ステロイド外用のみならずタクロリムス軟膏外用によっても生じることが明らかになった。しかし、シクロスポリン内服治療によっては大きな変化が見られなかった。したがって、集中的かつ局所的な炎症抑制が、ヒスタミン感受性の変化をもたらしたことが明らかになった。つぎに、ヒスタミン以外の炎症物質として、セロトニン、ブラジキニンによる皮膚反応の治療による変化も検討した。その結果、局所的抗炎症治療により、ヒスタミン反応に比べると小さな変化ではあるものの、セロトニンによる紅斑反応も減弱することが明らかになった。ヒスタミンは、痒み、紅斑、膨疹を生じるが、このうち、痒みと、紅斑のほとんどは、C神経の活動を介したものと思われる。したがって、それらの反応が減弱したことは、C神経の活動の減弱を意味する。セロトニンの紅斑も同様な機序で起こると考えられているので、セロトニシ性紅斑反応の減弱も、同じくC神経活動の減弱に一致ずる。このように、アトピー性皮膚炎の抗炎症性外用治療によりC神経反応性に変化が生じることが推測される結果が得られた。このことにより、アトピー性皮膚炎の痒み過敏に関与する末梢機序の一部を明らかにすることができた。
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