2010 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎患者における痒み過敏機序の皮膚から脳までの包括的研究
Project/Area Number |
21791074
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生駒 晃彦 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (10378614)
|
Keywords | 痒み / アトピー性皮膚炎 / 痒み過敏 / ヒスタミン |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用薬治療前後の皮膚における、ヒスタミンおよびセロトニンリセプター発現量を解析した。RT-PCR法、免疫組織化学法により、mRNAレベルでの発現量の精査、および発現箇所の特定を試みた。免疫組織化学法では、用いたいずれの抗体によっても染色を見ることができなかったが、RT-PCR法において、ヒスタミンH1受容体の発現量が、患者において健常被験者に比べて総じて高いことがわかった。また、治療後にヒスタミン反応が減弱するにもかかわらず、mRNAレベルでのH1受容体発現に大きな変化は見られなかった。したがって、受容体の量的変化よりも機能的変化がヒスタミン反応の変化に寄与していることが推測される。今後の更なる解析が必要であるが、ヒトにおける、初の痒み過敏の末梢性メカニズムに関する研究として、新しい知見を得ることができた。 痒み過敏の脳レベルの機構解析に関しては、残念ながら本研究施設では準備に時間を要したことと、上記の末梢レベルでの研究成果が出て集中したため、大きな進展を果たすことはできなかった。しかし、当該研究課題とは別のプロジェクトで、アトピー性皮膚炎患者において、皮疹部における電気刺激誘発性の痒みと、無疹部における電気刺激誘発性の痛みによる脳活動を、f MRIを用いて解析する機会を得た。その結果、同じ刺激を与えているのに一方では痒み、他方では痛みとして感じられるとき、それに対応して脳活動部位にも違いが少しながらも存在することがわかった。したがって、痒み過敏現象に脳レベルでの機構が関与することがわかり、これからの研究の方向性が確認できたため、引き続いて詳細な解析を行っていく予定である。
|