2010 Fiscal Year Annual Research Report
SDF-1/CXCR4シグナル伝達経路の表皮角化細胞遊走における役割の解析
Project/Area Number |
21791079
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宮脇 さおり 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (90467853)
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Keywords | 表皮角化細胞 / 細胞遊走 / SDF-1 / CXCR4 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
SDF-1による皮化胞遊走へのEGF受容体Transactivation機構の有無の検討 SDF-1による細胞遊走へのEGF受容体Transactivation機構の関与を検討するために、各段階に特異的な阻害剤を用いて阻害実験を行った。HB-EGFの膜型から遊離型への変換酵素の阻害剤にKB-R8301、遊離型HB-EGFの活性阻害剤にCRM197、EGF受容体の阻害剤にEGF受容体中和抗体、EGF受容体のリン酸化阻害剤にはAG1478を使用した。Western Blot 法による解析では、AG1478のみ約35%が抑制されたが、他の阻害剤ではSDF-1によるEGF受容体のリン酸化は抑制されなかった。同様にBoyden Chamber法においてもAG1478添加のみ約70%添加の遊走が抑制されたが、他の阻害剤では抑制されなかった。以上の結果からSDF-1による細胞遊走はEGF受容体を介するが、Transactivation機構自体は関与していないことが明らかとなった。 EGF受容体下流のシグナル伝達経路の解析 EGF受容体下流のシグナル伝達分子として、細胞遊走に重要な役割を果たしていることが報告されているSTAT3に注目し解析を行ったが、0から60分までの時間経過中、活性化は認めなかった。次にEGF受容体下流のシグナル経路の一つであるMAPK経路の解析を行ったところ、EGF受容体の活性化に引き続きERK(p42/44)の活性化が時間依存性に認められた。このERKの活性化の細胞遊走への関与を明らかにするために阻害実験を行ったところ、10μMのERK阻害剤PD98059により細胞遊走はほぼ完全に抑制された。以上の結果からSDF-1に誘導される表皮角化細胞遊走はEGFRの活性化、それに引き続くERK(p42/44)の活性化が中心的な役割を果たしていることが明らかとなった。
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