2010 Fiscal Year Annual Research Report
スタチンによるリンパ管新生を介した難治性皮膚潰瘍治療の基礎研究
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21791086
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浅井 純 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50438222)
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Keywords | マクロファージ / リンパ管 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
糖尿病モデルマウスの背部に皮膚全層欠損創を作成し、シンバスタチン外用を行った。シンバスタチンはday0、4,7,10に外用した。シンバスタチン外用群では、対照群に比較して有意に創傷治癒が促進された。(% wound closure on day 7 in the control vs. simvastatin group : 52.45±16.81% vs.79.26±11.09%, P<0.001)続いて、創部におけるマクロファージの集積の程度について抗F4/80抗体による免疫染色を用いて検討したところ、シンバスタチン外用群において有意に創部へのマクロファージの集積が増加した。それらマクロファージの中でリンパ管内皮特異的マーカーの一つであるLYVE-1の発現を同様に免疫染色を用いて検討したところ、シンバスタチン外用群では浸潤しているマクロファージ中にLYVE-1陽性マクロファージが多く含まれ一部は索状に配列しており、マクロファージがリンパ管内皮細胞へと分化しリンパ管を形成している可能性が示唆された。次に、培養マクロファージにシンバスタチン刺激を加えて、脈管形成能を検討したところ、シンバスタチン刺激により培養マクロファージの脈管形成が有意に促進された。また、培養マクロファージにシンバスタチンによる刺激を加え、リンパ管内皮細胞の特異的マーカーであるLYVE-1、Prox-1、VEGFR3の発現をPCR法にて検討したところ、LYVE-1、VEGFR3の発現増強を認めた。Prox-1については有意な差は認められなかった。 以上より、シンバスタチン投与により実験的糖尿病性潰瘍の治癒が促進したが、その機序として、血管・リンパ管新生促進作用が挙げられ、特にマクロファージによるリンパ管新生作用が重要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)