2009 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚T細胞リンパ腫でのFra-2とc-Mybの発癌における役割の解明
Project/Area Number |
21791103
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中山 隆志 Kinki University, 医学部, 講師 (60319663)
|
Keywords | ケモカイン / ケモカイン受容体 / 皮膚T細胞リンパ腫 / AP-1 / Fra-2 / c-Myb / 発癌 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、AP1ファミリーのFra-2が成人T細胞白血病(ATL)に構成的に発現し、ケモカイン受容体CCR4発現を誘導することを明らかにした。さらに、Fra-2は原癌遺伝子であるc-Myb、MDM2とBcl-6の発現誘導を介してATLの細胞増殖にも関与することを報告した(Nakayamaet a1.,Oncogene, 2008)。 皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、皮膚指向性の成熟T細胞由来の腫瘍グループであり、ATLとはHTLV-1非感染であることを除けばCCR4およびc-Mybの高発現も含めて類似するところが多い。 そこで、今回、研究代表者はCTCLの発癌機構におけるFra-2/c-Myb経路の役割を検討した。その結果、Fra-2はCCR4およびc-Mybと同様にCTCLにおいて普遍的に発現していた。c-Mybのプロモーター解析により、c-MybがFra-2の直接的な標的遺伝子であることを確認した。また、c-Mybの発現抑制によってATL、CTCLともに細胞増殖が有意に低下した。このc-Mybによる細胞増殖促進の一部はc-Mycを介していることが推測されたが、ATL、CTCL細胞株の全てにおいてはそれを説明できなかった。現在、c-Myc以外の細胞増殖に関わるc-Myb標的遺伝子を網羅的遺伝子解析によって検討している。これらの結果から、CCR4陽性成熟型T細胞リンパ腫においてFra-2/c-Myb経路は発癌遺伝子カスケードとして機能し、特に細胞増殖に寄与することが示唆された。
|