2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メディエーターによる好酸球の皮膚浸潤メカニズムとその生理的役割の解明
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21791105
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
杉田 和成 産業医科大学, 医学部, 助教 (40412647)
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Keywords | 好酸球 / S1P / S1P1 / FTY720 |
Research Abstract |
スフィンゴシン-1リン酸(以下S1P)は,生体内で多彩な機能を有する脂質メディエーターである。これまでの検討で、好酸球はS1P-S1P1シグナルに感受性を示し,S1Pが骨髄からの好酸球遊走制御に関与することを明らかにした。当該年度においては、FTY720による好酸球の移出や皮膚浸潤の制御について、昨年度とは異なる実験系でも検証し、これらの制御にどのS1Pレセプター(以下S1PR)が関与するのか検討した。C57BL/6マウスにIL-5を静注すると、末梢血好酸球が増加するが、あらかじめFTY720を投与していたマウスではその増加は抑制された。さらに、FTY720投与群ではマウス骨髄中の好酸球が増加していることも明らかにした。このことは、S1Pが好酸球の骨髄からの移出を制御していることを示唆している。しかしながら、FTY720はS1P1、S1P3、S1P4およびS1P5のアゴニストとしても知られているが、好酸球がどのS1PRを介して作用しているか明らかでない。そこで、マウス骨髄からセルソーターを用いて、好酸球を分離し、qPCRでS1PRの発現を調べた。マウス好酸球は、S1P1、S1P3およびS1P4が発現していることが明らかになった。また、ケモタキシスアッセイにおいて、S1Pによる好酸球の遊走は、S1P1特異的アゴニストである、SEW2871によって抑制された。加えて、SEW2871はIL-5トランスジェニックマウスの末梢血好酸球と皮膚浸潤を低下させ、皮膚遅発型反応が抑制した。以上の結果から、FTY720は好酸球の骨髄からの移出に関与し、遅発型反応を抑制することが明らかになった。さらに、これらの制御にはS1P-S1P1シグナルの関与が示唆された。
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