2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性気分障害における動脈硬化因子の影響に関する包括的検討
Project/Area Number |
21791110
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
成田 耕介 Gunma University, 医学部, 助教 (70345677)
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Keywords | 治療抵抗性気分障害 / インスリン抵抗性 / 頭部MRI |
Research Abstract |
気分障害を対象に、採血によるインスリン抵抗性関連指標の精査、頭部MRI検査、神経心理学的検査を試行することで、精神科的加療に対しても治療反応の得られない患者群から治療抵抗性の形成に関連している因子を抽出することを目的としている。初年度は、健常ボランティアを対象とした基礎データベースを作ることを中心として、約160人に対して検査を施行した。患者群については、約50人に対して検査を行った。中間データの解析では、頻回の気分障害エピソードを示す患者群では、治療反応性の良好な患者群とくらべて、前頭前野および前頭葉内側面を中心に広範な皮質体積の減少が確認された。また、神経心理学的にも、社会適応と作動記憶の間に有意な関連性を認めた。年齢による分布を調べたところ、全脳体積では、加齢に伴う減少率は健常群と気分障害群で有意な差は認められなかったのに対して、脳局在体積の減少率では、扁桃体、前部帯状回などで、患者群の減少率が有意に高いことが示された。さらに、健常人データを解析したところ、養育体験に対する主観的な回想の定量評価において、過干渉な両親の養育を体験したと述べる個人では、抑うつ指標・不安指標ともに高く、また前頭前野背外側部の体積も有意に小さいことが示された。このことは、神経発達と養育態度の関連性を検討する上での、先駆的知見になると考えられる。今後も対象数を増やすことで、より精度の高いデータを抽出して行く。
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