2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬理ゲノム学的手法を用いた抗精神病薬誘発性QT延長症候群発症マーカーの探索
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21791117
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福井 直樹 Niigata University, 医歯学系, 助教 (90535163)
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Keywords | 抗精神病薬 / 24時間ホルター心電図 / QT延長 / torsades de pointes / 心筋イオンチャネル / 遺伝子型 / リスペリドン / オランザピン |
Research Abstract |
薬剤誘発性QT延長症候群は、薬剤の投与により心電図QT時間延長から致死的不整脈であるtorsades de pointesを引き起こし、死に至ることがある。現在までに、第二世代抗精神病薬が心電図QT間隔に与える影響は数多く報告されている。しかし、その多くが日中短時間の心電図記録に基づいた評価であり、また、報告間で結果に相反が認められる。これはQT間隔に日内変動があることを考慮に入れていないことがその原因と考えられる。そこで我々は、24時間ホルター心電図を施行し、そのQT時間を解析することにより、QT間隔の日内変動の影響を考慮に入れてQT延長作用を厳密に評価する。また、現在までに、KCNQ1,KCNH2,SCN5A,KCNE1等の各心筋イオンチャネル遺伝子多型が薬剤誘発性QT延長症候群の原因として報告されてきている。抗精神病薬の種類を含め臨床情報と上記の遺伝子情報を同時解析し、QT間隔に影響を与える因子を抽出することを目的とする。 平成21年度終了時までに、リスペリドンを内服している群22例、オランザピン群41例、薬剤を内服していないコントロール群40名の24時間心電図データの解析を終了した。解析の結果、3群ともにQT間隔の日内変動を認め、日中に比し夜間で延びることが示された。日中はリスペリドン群とオランザピン群の間でQT間隔に差は認めなかったが、夜間ではリスペリドン群がオランザピン群に比しQT間隔が有意に延長していた。これは、リスペリドンと夜間の心拍数低下の相乗効果によるものと考えられる。抗精神病薬内服症例で夜間におきる心臓突然死の原因の解明につながる結果と考える。遺伝子解析も進行中である。
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Research Products
(16 results)