2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害の視線認知に関わる大脳皮質反応の脳磁計による研究
Project/Area Number |
21791118
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中谷 英夫 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (10452103)
|
Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 視線認知 / 大脳生理学 / 脳磁図 |
Research Abstract |
本年度は、健常ボランティアを対象とした予備的実験を中心に行った。健常成人10名を対象にして、視線認知に関連した誘発磁場を測定した。また、表情認知において、positiveな表情とnegativeな表情の判断についても調査し、判断までの反応時間と傾向について調べた。これちの調査から視線認知に関与するといわれる視覚連合野からの誘発活動の定量化、および表情を認知した時の誘発脳活動の定量化が可能となり、実際に自閉症スペクトラム障害(ASD)患者に対して実験を施行する準備が整った。これらの脳活動の中心となっている部位は、ASD患者にて異常が報告されている上側頭溝などの後方の連合野に位置しており、この部位における脳機能測定が可能になったことから、ASDに感度の高い大脳生理学的検査方法となることが期待される。そこで更に、自閉症に対しては金沢大学附属病院神経科精神科と子どものこころ診療科に通院中の患者2人を対象にして、予備的実験を行った。現在結果を解析中である。患者の症状評価に際してはADIRなどの標準化された診断基準を導入体制を整え、ライセンス取得にむけてトレーニングを受けている。実際に心の理論や、表情認知能力、こだわりの強さ、常同的な行動、他者への共感性などの能力との関連について調査を進めている。 来年度以降、臨床症状の評価体制をさらに充実させ、生理学的情報と臨床症状の関連を調べることで、自閉症の病態生理に迫っていく。そのために被験者数を増やし、統計的な妥当性を高めていく。
|