2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害の視線認知に関わる大脳皮質反応の脳磁計による研究
Project/Area Number |
21791118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中谷 英夫 金沢大学, 附属病院, 助教 (10452103)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 視線認知 / 大脳生理学 / 脳磁図 |
Research Abstract |
本年度は、一昨年に作成したMEG脳機能測定用健常を想定した視覚提示課題の改良を行った。広汎性発達障害の上側頭溝における脳の反応について解析をすすめたところ、まなざしの提示よりも、目の動きをともなう仮現運動視をもちいた刺激を提示する方法が、より上側頭溝における脳のレスポンスを描出できる点で優れていることが判明した。まなざしの理解は、日常生活において動的なものであることを勘案すると、視線認知に関与すると言われる上側頭溝を中心とする部位における反応を評価するためには、このような動的な刺激提示課題への変更が、より理想的であると考えた。そこで、厳密な調査を行うため、20人の成人ボランティアを対象とした予備的実験で、再度修正した課題の再現性を評価した。すなわち視線運動認知誘発磁場を2度、異なる日に測定し、その再現性の高さを確認した。また、表情認知においては従来通りpositiveな表情とnegativeな表情の判断についても調査し、判断までの反応時間と傾向について調べた。 患者を対象とした実験については、修正された健常成人で再現性の高い刺激課題をもちいて、H23年度に施行する。患者の症状評価に際してはADIRなどの標準化された診断基準の導入体制を整え、ライセンス取得にむけてトレーニングを受けている。実際に心の理論や、表情認知能力、こだわりの強さ、常同的な行動、他者への共感性などの能力との関連について調査を進めている。
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