2010 Fiscal Year Annual Research Report
MRIとPETによる自閉症の脳内軸索走行とミクログリアの活性化に関する脳画像研究
Project/Area Number |
21791124
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹林 淳和 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (50397428)
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Keywords | 自閉症 / 軸索 / ミクログリア / 脳画像 |
Research Abstract |
本研究では、自閉症者を対象に臨床評価と認知機能評価を行い、同一対象者において拡散テンソル画像(DTI)研究とポジトロン断層法(PET)研究を進める。これらの多面的検討により、「脳内炎症免疫反応過程⇒軸索走行異常⇒症状形成」という病態発生のカスケードを描き出すことを目的とする。平成22年度で自閉症者20例、健常者20例(年齢18~25歳、IQ85以上)の[11C]PK11195(活性型ミクログリアを標識)を用いた、PET検査が全例終了した。この結果、自閉症者では、脳幹、小脳、視床、前頭葉、側頭葉、頭頂葉において、健常者に比べ、有意に高い[11C]PK11195の結合能(BP)が見られた。このことは、自閉症者において、脳内の複数の部位でミクログリアの活性化が起こっており、同部位の炎症免疫反応の存在が示唆された。我々は、自閉症者における脳幹部においてミクログリアの活性化とセロトニントランスポーターの低下が相関することを既に明らかにしており(未発表データ)、このことはセロトニン神経の起始核である縫線核に炎症が存在していることを示唆するものである。現在、DTIにより脳内軸索走行異常についても検討を進めており、PKのBPと症状評価、認知機能検査との関連を解析中である。脳内の炎症、軸索異常、神経伝達の異常の関連が明らかになれば、自閉症の病態解明が一層進むと考えられる。今後、これらの結果を欧米専門誌に投稿予定である。
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