2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル系移民の乳幼児における生育環境と認知機能の発達の疫学的関連探索研究
Project/Area Number |
21791127
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村木 紘子 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 臨床心理士(非常勤) (80535576)
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Keywords | 在日外国人 / 子ども / コホート研究 / 疫学 / 認知機能 |
Research Abstract |
研究の概要 (1)すでに運営を開始したコホート研究の枠組みを利用して、合計450名の妊婦がエントリーする出生コホートを準備し、22年度末まで運営を継続する。500名中、473名は日本人、30名はブラジル系移民である。これらの妊婦から生まれるすべての児を対象とし、胎児期、周産期の心理社会的要因に関する情報を収集したのち、18ヶ月まで追跡する。10、14、18ヶ月時に認知機能の発達に関する情報を直接観察によって収集し、22年度に、国籍と心理社会的諸要因、および交絡因子候補を独立変数とし、認知機能の発達を従属変数とする解析を行う。 (2)外国籍の子どもたちの教育外の支援、特にメンタルヘルスに関する支援は往々にして不足しがちである。今回、浜松市内の外国人学校に在籍し、不登校もしくは何らかのメンタルヘルスの問題を抱える児童の実態を把握するとともに、それを踏まえた支援を行う。 結果 (1)コホート研究 ブラジル人および日本人妊婦から生まれる乳幼児の追跡を行ったところ、運動発達・視覚受容発達に差は認められなかったが、前者で表出言語の発達に遅延が認められた。この傾向は、社会経済的諸因子、年齢、同胞数などを統制しても有意さとして認められた。また、ブラジル系の母親に産後抑うつが高率に認められた。 (2)不登校児の実態と支援 浜松市西区の南米系外国人学校(ムンド・デ・アレグリア)に在籍する5~16歳の小児約150名のうち、不登校もしくはそれに近い状態にある小児は10名(8%)であった。そのほとんどが、日本の公立校で不適応を起こした経歴を持っていた。また、このうち2名に、発達障害(広汎性発達障害および学習障害)が見出された。
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