2010 Fiscal Year Annual Research Report
エビデンスに基づく効果的な精神科リハビリテーションプログラムの開発
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21791141
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
加藤 大慈 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70363819)
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Keywords | IMR / 心理教育 / リカバリー / リハビリテーション / エビデンス / 統合失調症 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、IMRを、横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、日向台病院、藤沢病院、南共済病院、鷹岡病院において、統合失調症患者に実施し、現在までに73名が全プログラムを終了した。プログラムのフィデリティを維持するため多施設研究会議を毎月1回以上開催した。 対象者を限定した31名の研究結果は、Psychiatric Servicesで論文発表したが、IMRがわが国でも有効なことが示され、特にQOLと自己効力感の向上に効果があることが示唆された。現在はIMR終了後、一定期間が過ぎている患者も蓄積したため、IMRの効果の持続性に関して解析を進めている。 高年齢者(50歳以上)を抽出して効果検討も行った。対象者は統合失調症患者8名(男性5名、女性3名、平均58.6歳、外来2名、入院6名)とした。IMR実施前後で、GAFとBPRSは6名中5名で改善を認めたが、長期入院患者ではQOLや自己効力感の改善を認めない対象者が多かった。 現在までの研究結果を活かして研修会を開催した。日本精神障害者リハビリテーション学会第18回浦河大会ではアンケートを実施した(参加者19名、回収率89%)。IMRの実践経験がある参加者は1名で、5名が実践を計画中、9名が実践しておらず予定は無いと回答し、研修会終了後は、5名が「とても実践してみたい」、10名が「少し実践してみたい」と回答した。 家族心理教育(FPE)に関しては、現在4施設で標準型家族心理教育が進行し、データを蓄積している。本人の評価だけでなく、家族の生活困難度や健康度を測定している。 IMRに関しては、米国で普及し効果があることが示されているが、わが国で実践している施設はまだ極めて少なく、日本におけるエビデンスの蓄積が必要であり、本研究の継続は重要である。
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