2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791147
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高塩 理 Showa University, 医学部, 助教 (00384256)
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Keywords | パニック障害 / 広場恐怖 / 薬物療法 / 治療因子 |
Research Abstract |
広場恐怖を伴う/伴わないパニック障害に対して、選択的セロトニン再取り込み阻害薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬などの薬物治療と認知行動療法の効果の違いや、どのような患者にどちらの治療が効果的なのか、それぞれの治療因子を探るために、薬物療法による通常治療群と通常治療に集団認知行動療法を追加した群とに分けて比較検討をするための準備を行った。それぞれの群に対して、パニック発作、予期不安、広場恐怖の程度などのパニック障害の症状や付随してよく認める抑うつや生活の質などの改善度やその改善の経過の違いを比較検討するために、PDSSまたCGIなどの客観評価尺度を医師が評価し、患者にはMI、FQ、ACQまたBSQなどの自己記入式評価尺度を記入してもらった。本年度は、まず集団認知行動療法の心理教育の資料作りとしてパソコンやプレゼン用ソフトやプロジェクターを購入した。また集団認知行動療法の治療因子の分析のために、ボイスレコーダーも併せて購入した。そして集団認知行動療法を1グループ実施した。また通常治療の患者にも研究の参加を募った。両群ともに改善を示したが、集団認知行動療法併用した群は、通常治療群と比較して、特に広場恐怖の改善を認めた。これは、我々が今までに同じ治療構造で集団認知行動療法を施行してきた結果と同様であった。まだサンプル数が不足しており結果を出すことは時期尚早であるものの、仮説(1)で立てた、集団認知行動療法群の方が、パニック障害の症状である予期不安や併存しやすい広場恐怖の症状の軽減をさせやすい感触を得ることができた。また仮説(2)で立てた、集団認知行動療法群では、「自分だけが病気で苦しんでいるのではない」という普遍性に気づき、不安を軽減することで希望が持てるようになることが治療因子として作用する可能性に手ごたえも感じることができた。引き続き例数を増やして、結果を出していきたい。
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