2009 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉てんかんにおけるドーパミン受容体の変化と精神症状の関連に関するPET研究
Project/Area Number |
21791150
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
一宮 哲哉 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (50398864)
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Keywords | 側頭葉てんかん / PET / ドパミンD2受容体 / FLB 457 / SPM |
Research Abstract |
目的:側頭葉てんかんにおけるドパミン神経伝達機能の変化を調べるため、ポジトロンCT(PET)を用いたドパミン受容体の結合能の測定を行った。 対象と方法:臨床症状、脳波、MRIなどから側頭葉てんかんと診断された患者と年齢の一致した健常被験者を対象とした。患者群は男性5名と女性2名の計7名で構成され、平均年齢は36.6±12.5歳であった。患者群の発作焦点はすべて左側頭葉であった。健常対照群は男性12名と女性2名の計14名で構成され、平均年齢は35.0±9.0歳であった。ドパミンD2受容体の定量が可能な[11C]FLB457をPETトレーサーとして用いてPETの撮像を行った。また、画像解析のため脳MRIを撮影し、画像解析ソフトウェアPMODを用いて、関心領域を設定し時間放射能曲線を得た。小脳を参照領域としたSimplified Reference Tissue Methodを用いて、結合能(Binding Potential, BP)から成るパラメーター画像(BP image)を各被験者で作成した。画像解析ソフトウェアStatistical Parametric Mapping2(SPM2)を用いて、患者群と対照群でBPの差を比較した。画像解析ソフトウェアVoxel-based Morphometry (VBM)を用いて両群の容積について比較を行った。 結果と:SPM2におけるt検定では、発作側である左側頭極、左下側頭回、左紡錘状回において患者群は有意に低いBP値を示した。VBMでは群間差は認めなかった。 考察:側頭葉てんかん患者において、D2受容体のBPは焦点が存在する側頭葉内側部では変化がなく側頭葉下部で低下していた。容積について群間差がないことから、側頭葉患者ではドパミンD2の神経伝達機能の低下が焦点の外で生じていることが示唆された。
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