2010 Fiscal Year Annual Research Report
予後因子としての神経栄養因子動態に基づく難治性うつ病に対する電気痙攣療法の最適化
Project/Area Number |
21791151
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
池田 裕美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10386154)
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Keywords | 神経栄養因子 / うつ病 / 電気痙攣療法 |
Research Abstract |
本研究では、うつ病の病態と関わりの深い複数の神経栄養因子に着目し、電気痙攣療法(electroconvulsive therapy : ECT)の治療期間から終了以降にかけて、それらの血清中の動態を定量する。これに基づいて患者の逐次的な状態の評価ならびに予後の推定を行い、ECTの治療効率を患者単位で最適化することを目的とする。さらに、うつ病モデル動物を用いた実験系を確立し、神経栄養因子とうつ病の病態との関わりについてその生物学的基盤を精査し、患者の状態把握と治療方針確立の一助とする。前年度では、副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone : ACTH)を2週間反復投与してうつ病モデルマウスを作製してACTHマウスがうつ様行動を示すことを確認したが、今年度はこのモデルマウスの脳組織中神経栄養因子量を測定した。コントロール群と比較して、ACTH投与群では海馬の脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor : BDNF)量と上皮成長因子(epidermal growth factor : EGF)量が低下する傾向があった。BDNF量の低下は、うつ病患者や他のうつ病モデルマウスで報告されており、行動と生化学の面からACTH投与によるうつ病マウスのモデルを確立した。一方で、ヒトのECTに準じたプロトコルを用いて、マウスに電気痙攣ショック(electroconvulsive shock : ECS)を処置した。未処置マウスと比較して、ECSマウスでは海馬のBDNF量とEGF量が増加する傾向があった。今後、このうつ病モデルマウスに対してECSを行い、ヒトの脳で起こっている変化を動物モデルで確認する予定である。臨床研究では、十分な被験者数のデータを収集し、経時的な神経栄養因子の動態と症状の重症度との関連性を精査する予定である。
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