2009 Fiscal Year Annual Research Report
sertralineのendocytosis阻害作用に求めるうつ病の原因因子
Project/Area Number |
21791152
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 清文 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 研究技術員 (70398965)
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Keywords | 脳・神経 / 向精神薬 / Dynamin |
Research Abstract |
Dynamin(Dyn)は自身のGTPaseを用いてendocytosisにおける小胞分離に機能するタンパク質である。これまでの調査では、うつ病の第一選択薬として重用されるselective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)の一部、sertralineなどにDynlのGTPase阻害作用を認めた。セロトニン受容体・輸送体の特異的なアンタゴニストとして認識されているSSRIだが、この調査結果により、これらの薬品が本来の作用機序だけではなくendocytosisの阻害作用を有する可能性が示唆された[Otomo,M.2008]。また、培養細胞とendocytosisマーカーであるtransferrin(Tf)を用いて取り込みを観察したところ、これらの薬品には確かにendocytosisの阻害作用が認められた。本研究ではDyn1の各機能領域を生化学的作用で分割し、sertraline作用域を検索した。1)酵素反応速度論から、sertralineはGTPに対する混合型の阻害を示している。そこで、GTP結合に欠陥を生じる変換体K44Aを作成、培養細胞に遺伝子導入しsertralineで処理した細胞とマーカーの取り込みを比較した。sertralineで処理した培養細胞は、K44A発現細胞よりも強力にTfの取り込みを阻害する。2)sertralineのendocytosis阻害効果はDyn1の発現しないHeLa細胞でも確認できた。ユビキタスなDyn2を合成して行ったGTPase assayでは、Dynlと同様のsertralineによる阻害曲線を描く。3)酵素反応速度論から、sertralineは膜状物質に対しても混合型の阻害を示す。Dynlと脂質の結合をsurface plasmon resonanceにより解析したところ、Dyn1と脂質の結合はsertrallineの存在でも阻害されなかった。以上のことから、sertralineの阻害対象はDyn1だけではなくDyn2にも及ぶこと、DynのGTP加水分解や膜結合とは異なる過程に作用することが、それぞれ明らかになった[Takahashi,K.2010]。
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Research Products
(3 results)