2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存症の治療法開発:逆耐性を消失させるドーパミンD1受容体シグナル
Project/Area Number |
21791154
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
首藤 隆秀 Kurume University, 医学部, 助教 (70412541)
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Keywords | 薬物依存 / メタンフェタミン / 逆耐性 / ドーパミン / DARPP-32 / 線条体 |
Research Abstract |
薬物依存症の動物モデルである逆耐性現象を消失させるドーパミンD1受容体刺激薬反復投与が、どのような機序で作用するのかを解明するため、リン酸化タンパクDARPP-32のリン酸化を指標としてシグナル解析を行った。 メタンフェタミン反復投与により逆耐性を形成させたラットの線条体スライスにおいて、ドーパミンD1受容体/プロテインキナーゼA (PKA)シグナルが減弱していた。また、in vivo条件での検討においても、メタンフェタミン単回投与では線条体におけるドーパミンD1受容体/PKAシグナルが増強されるが、メタンフェタミン反復投与後、つまり逆耐性形成後ではドーパミンD1受容体/PKAシグナルの減弱を示唆する実験結果が得られた。この結果より、ドーパミンD1受容体刺激薬反復投与は、逆耐性形成ラットにおいて減弱しているドーパミンD1受容体/PKAシグナルを増強することにより逆耐性を消失させるのではないかという可能性が示唆される。 また、DARPP-32のPKAサイトのリン酸化を阻害したDARPP-32 Thr34点変異マウスにおいて、メタンフェタミン逆耐性の形成が抑制されるという実験結果を得た。この結果より、メタンフェタミン反復投与による逆耐性形成には、DARPP-32リン酸化を介したドーパミンD1受容体/PKAシグナルの増幅作用が重要であると考えられ、薬物依存症の形成におけるDARPP-32の重要性が示唆される。 これらの実験結果は、メタンフェタミン逆耐性の形成機序解明に大きく寄与するものであり、薬物依存症の病態の解明、新規治療法の開発に貢献できるものである。
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