2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症におけるミトコンドリアゲノム変異と病態関連遺伝子の探索
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21791159
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Research Institution | 財団法人東京都医学研究機構 |
Principal Investigator |
市川 智恵 (財)東京都医学総合研究所, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (60383288)
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Keywords | ミトコンドリア / 統合失調症 / 神経科学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
統合失調症の発症には遺伝要因が大きく関わると考えられている。また、発症要因の一つとして、ミトコンドリア機能異常の関与が示唆されていることから、ミトコンドリアDNA(mtDNA)が病態に関与する可能性が指摘されている。そこで本研究では、病態とmtDNAの変異・多型との関連を明らかにすることを目的とし、昨年度に引き続き、統合失調症患者剖検脳、患者および健常者末梢血由来のmtDNAにおける多型および変異の探索を行った。患者剖検脳28例、患者末梢血114例、健常者117例について、呼吸鎖複合体IVおよびVのサブユニット遺伝子を含むmtDNA領域の塩基配列を決定した結果、合計16ヶ所の新規variantを同定した。また、患者のみから検出されたアミノ酸置換を伴うvariantが21ヶ所見出された。そのうちの11ヶ所がデータベース上の日本人で報告されていない疾患選択的なvariantであることを示し、これらを本症のリスクvariantとして提案した。この中には、これまでにリスクvariantとして報告のあるvariantや、アミノ酸置換による機能変化を予測するツールによりダメージが予測されたvariantも含まれており、これらは特に病態と関連の強いvariantと考えられた。本研究により提示した、mtDNAのリスクvariantの有無と本症の病態、あるいはアミノ酸置換に伴う機能変化の解析などを行うことで、これまで行われてきた核ゲノムのみの変異・多型解析では解明できなかった病原遺伝子の同定と、病態におけるミトコンドリアの役割を明らかにできると考えられる。
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Research Products
(1 results)