2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体疾患を持つ高齢者における睡眠障害及び睡眠医療の実態調査
Project/Area Number |
21791160
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Research Institution | (独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 |
Principal Investigator |
榎本 みのり 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所精神生理研究部, 流動研究員 (60415578)
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Keywords | 精神生理学 / 睡眠障害 / 睡眠 / 活動量計 / アクチグラフィ |
Research Abstract |
本研究では、身体疾患を有する高齢者が抱える不眠、過眠、睡眠時呼吸障害などの睡眠問題と催眠・鎮静系薬物の服用頻度の実態調査を行い、医療現場で選択されている睡眠医療のRisk-benefit balanceについて明らかにすることを目的とした。身体疾患患者の睡眠状態を客観的に効率よくスクリーニングすることを可能にするために廉価型の携帯型活動量ロガーを採用し、平成21年度にその活動量データから睡眠/覚醒を判断するための判定アルゴリズムを作成し妥当性を検討した上で実態調査に投入した。全国43病院の急性期一般病棟に入院中の20歳以上の身体疾患患者539名(M:303, F:236,平均72.8y)を対象として、主観的睡眠感、睡眠関連症状及び過去1週間の催眠・鎮静系薬物の服薬状況に関する質問紙調査を行った。同時に小型活動量計による2日間の活動量の連続記録を行い、判定アルゴリズムを用いて客観的睡眠パラメータ(総睡眠時間、中途覚醒時間、睡眠効率)を算出した。また、調査員が1分間隔で24時間にわたり、睡眠覚醒状態、随伴症状等についての観察を行った。急性期病棟に入院中の身体疾患のある患者539名の睡眠障害の内訳は、SAS 9.8%、RLS 4.8%、PLM 6.5%、夜間異常行動(せん妄、RBD等)6.3%、過眠3.7%、左記以外の不眠群49.0%であった。睡眠問題のない良眠群は11.3%のみであった。不眠群のうち66.3%は未治療であり、客観的睡眠評価でも不眠症未治療群は良眠群に比較して有意に低質な睡眠であることが確認された。また、薬物療法を受けている患者でも半数以上では不眠が残遺していた。本研究の結果から、急性期一般病棟ではきわめて高い頻度で睡眠障害が認められ、入院患者のADL、QOLを改善するために多剤併用に注意をしながら不眠の治療にも適切に対処することの重要性が示唆された。
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