Research Abstract |
【目的】慢性肝障害のコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis ; CAD)において重要なパラメータとなりうる肝実質テクスチャ解析において,3テスラMRIと人工知能(Artificial Neural Network ; ANN)を用いた場合に関心領域(Region of Interest ; ROI)の適切なサイズを検討した. 【方法】対象は生検または手術で病理学的に線維化の程度が診断された42例(FO:6,F1:4,F2:10,F3:7,F4:15)における肝臓領域の3テスラMRI画像(3D-ガドリニウム造影門脈相像,スライス厚4.4mm/オーバーラップ50%).複数断面上,血管を避けて用手的にROIを設定し,教師データとして42例×4=168個,実験データとして42例×7=294個のROIを用いた.ROIごとに得られる15項目のテクスチャ特徴量をANNに入力し,連続値(FO:-1,F1:-0.5,F2:0,F3:0.5,F4:1)で出力した.ROIサイズは32×32pixel(26×26mm),20×20pixel(16×16mm),16×16pixel(13×13mm)の3種類を用意し,それぞれにsobelフィルタの有無を設定したため,計6種類のパターンでANNの診断能を比較した. 【結果】実験データにおけるANNの診断能(32×32,20×20,16×16pixel)は,sobelフィルタなしがそれぞれ70%,77%,73%,sobelフィルタありがそれぞれ67%,75%,68%であった. 【結論】3テスラMRIとANNを用いた慢性肝障害のテクスチャ解析では,20×20pixelのROIサイズでsobelフィルタを用いない場合に最も診断能が高かった.ROIサイズが大きいと血管を含み,ROIサイズが小さいと十分なテクスチャ情報が得られず,それぞれ診断能低下の原因になる可能性が示唆された.またsobelフィルタは線維化情報以外の雑音情報も強調するため,その使用により診断能を低下させた可能性がある.
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