2010 Fiscal Year Annual Research Report
パターン認識に基づいたPET動態解析における安定した神経受容体濃度画像化法の構築
Project/Area Number |
21791233
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坂口 和也 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40521175)
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Keywords | 核医学 / PET / 神経受容体 |
Research Abstract |
PETを用いた神経受容体濃度測定において、高精度かつ頑強に画素別で受容体濃度指標を推定することで、PET定量画像作成を実用的に可能とするアルゴリズムの構築を目標とし、工学分野で盛んに研究されているパターン認識と、医学薬学分野で用いられている薬物動態解析手法の融合を試みた。平成21年度は放射性薬剤の投与から一定期間を置くことで、薬剤供給源の血漿の放射能濃度と、出力に相当する脳組織の放射能濃度分布との間で過渡平衡を成立させ、過渡平衡後の経時変化より振幅成分のみを、主成分分析にて1次元まで縮約させたときの投影長として推定し、基底ベクトルに振幅を乗じた雑音低減後の時間放射能曲線を作成、その後、グラフ解析法により受容体濃度指標のひとつである総分布容積の推定を行った。しかしながら、過渡平衡に達する時間はグラフ解析法が適用できる時間よりも長く、測定点が減少するため推定分散が大きくなる問題を有していた。平成22年度は、グラフ解析法に適用可能で非平衡状態の測定点をも含んだ、雑音低減後の時間放射能濃度曲線の作成を、コンパートメントモデル解析に基づいた手法で試みた。グラフ解析法が適用可能な時期は、組織の時間放射能曲線が2つの指数関数の和で示される時で、うち1つは血液の曲線と比例関係にあることが解った。その上でLaguerre多項式による直交展開を用いて、コンパートメントモデルと直交ベクトルの大きさとの関係を定式化、実測した時間放射能曲線をLaguerre多項式展開した後の係数と、定式化された理論的な係数との比較により、平滑化曲線のパラメータ推定を試みた。本手法は直交展開と次元縮約による雑音低減処理のひとつであるため、従来法と同じ程度の低減能力に留まるが、主成分分析とは異なり、理論的背景を持つ直交展開ができ、別の雑音低減法を盛り込む余地を持たせる事ができた。
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