2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス悪性黒色腫由来細胞の高転移能に対する重粒子線の影響
Project/Area Number |
21791234
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
松本 孔貴 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (70510395)
|
Keywords | 重粒子線 / 炭素線 / 転移 / 悪性黒色腫 / RBE / 浸潤能 / 遊走能 |
Research Abstract |
放射線、特に重粒子線の転移に対する影響は未だに明らかではない。しかし、炭素線治療のように局所制御が優れた治療でこそ、転移制御による生存率向上が極めて重要な課題となる。本研究では、上記の問題に資する基礎データの取得を目的とし、マウス悪性黒色腫の転移に対する炭素線及び光子線照射の効果を動物/細胞実験で評価する。 1.動物実験:昨年度までに6cmSOBPの中心部(Cenrer、LET≒50keV/μm)及び入口部(Proximal、LET≒14keV/μm)での結果を示してきた。その成果を受けて、290MeV/u炭素線6cm拡大ピークビームのより高LET部分である末端部(以下Distal、LET≒75keV/μm,)を用いて照射を行った。また、基準放射線としては昨年度までと同様に^<137>Csのγ線を用いた。 (1)C57BL/6Jマウスに移植したB16/BL6腫瘍に炭素線SOBPのDistal部分で局所照射を行い、照射後の肺転移数の変化を調べた。この実験では、マウスの死亡を防ぐため照射後3日の時点で局所腫瘍の切除を行った。昨年度までの結果と同様に、照射後線量依存的に肺転移数の減少が観察され、またその程度はLETに増加に伴いより顕著であることを明らかとした。 (2)昨年度までと同様に、in vivo-in vitro assayにより腫瘍内細胞の生存率曲線を求めたところ、炭素線照射群で顕著な細胞致死効果が観察され、その効果は昨年度までに得られたProximal及びCenter部よりも顕著であった。 (3)(2)の結果から、腫瘍内細胞致死における等効果線量(10%生存率線量:D^<10>)を:算出し、(1)で求めた肺転移数の減少を再評価した。その結果、D10線量での肺転移減少率はγ線で約8%、炭素線SOBPのProximal(14keV/μm)で約22%、Center(50keV/μm)で約27%、Distal(75keV/μm)では約29%になり、等効果線量においても炭素線の優れた高転移効果が明らかとなった。
|