2010 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線治療に対する体内線量測定法の開発と高精度陽子線治療計画への応用
Project/Area Number |
21791236
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Research Institution | 独立行政法人国立がん研究センター |
Principal Investigator |
河野 良介 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (20392227)
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Keywords | 陽子線治療 / 体内線量測定 / ペンシルビーム線量計算法 / 高速モンテカルロ法 / MOSFET検出器 / LET依存性 |
Research Abstract |
陽子線治療における体内線量測定を目指し、体内不均質中でも高精度に線量計算可能な高速モンテカルロ法を開発した。不均質効果が顕著な領域でも、高速モンテカルロ法による計算結果は、実測値と良く一致し、懸念された不均質媒質中の線量分布でも高精度に予測することがわかった。 体内線量測定用検出器として、metal oxide-silicon semiconductor field effect transistor(MOSFET)検出器の利用を図っているが、MOSFET検出器は、linear energy transfer(LET)に対して感度劣化を生じるため、線量測定には限界がある。そこで、電離領域である二酸化シリコンの厚さを従来の0.5μmから0.25μmに薄くすることでイオン再結合を緩和するように改良した。これにより、LET効果に対する感度劣化は10%以上、方向依存性については8%程度改善することに成功した。 しかしながら、依然としてブラッグピーク付近では電離箱による線量測定値に比べ、30%程度の感度劣化を生じることから、MOSFET検出器による線量測定のためには、それらの感度劣化に対して補正する必要がある。そこで、ペンシルビーム線量計算法を利用したり、高速モンテカルロ法を利用した2種類の感度補正法を開発した。均質媒質中での検証では、ペンシルビーム線量計算法を利用した補正法の有用性が確認された。さらに、体内不均質を有する人体ファントムにおける検証では、高速モンテカルロ法による線量計算結果と比較したところ、測定誤差内で一致することがわかり、世界で初めて、体内不均質を有する人体ファントムにおけるMOSFET検出器による線量測定に成功した。このように、MOSFET検出器による陽子線線量測定法を確立し、MOSFET検出器による高精度かつ有意義な体内線量測定の実現の可能性を示すことができた。
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